今年のラツコヴィッチ展は、7月後半から8月にかけて、茅ヶ崎の<
CREATIVE SPACE HAYASHI>で開催していただくことになりました。
先週ラツコヴィッチ・アート・ジャパンのYさんとギャラリーを訪ねる予定でしたが、10年ぶりくらいの重〜い腰痛がやってきて訪問は延期となってしまいました。
ギャラリーでちょうど開催されていた、
写真家/竹沢うるまさんの展覧会を見るのも楽しみにしていたのでとても残念でした。竹沢さんは毎年我が家で利用しているJVC(日本国際ボランティアセンター)のカレンダーの今年の写真を撮った写真家です。JVCのカレンダーは、今までもよい写真はいろいろありましたが、今年は特に色彩が独特で強い印象が残っていました。
2010年から3年近くをかけて103ヶ国を巡って撮った写真は、<Walkabout>という写真集として出版されているというので早速図書館で借りました。また今年の2月には、写真集と対になる、文章がメインの<The Songlines>も出版されていたので、こちらも併せて読みました。
<The Songlines>からは、アマゾンでのシャーマンとの出会いと深い精神世界の体験(旅の出発から読んでいくと、この体験は決して唐突な感じはしません)、厳しいアフリカの環境のなかで生きる子供たちのすがたや東チベットの政治的にも厳しい現実など、旅行者のリアルな実感が伝わってきましたが、私が一番印象に残ったのは、世界には旅人と呼ばれる人たちが多く点在していることでした。そして著者自身が、旅を終えるタイミングの難しさを何度も言及していたことです。「もう十分に世界を見た(旅を生きた)」という実感が、旅を終えることを促すのですが、それがないと憑かれたように生と死ぎりぎりの状況にまで近づいてしまうか、あるいはぼんやりと旅人を続けてしまうというのです。旅行は場所や目的・時間が限定された日常の続きを意味しますが、旅(たび)はもっとあいまいで自由な経験を指すように思えます。しかしこの本を読むと、旅のもつ本質を考えさせられます。旅の本質は、憧れ、恐れ、孤独、迷い、決断、歓び、生と死のあわい(間)に時間を刻む私たちの人生をとても色濃く映しているものだと。
ちょうど2週間ほど前、2年近くをかけて世界を回って帰国した元クラスメイトに会い、写真を見ながら話を聞いたこともあって、竹沢うるまさんの2冊の本もリアリティがありました。
元クラスメイトの旅は、その都度各国のツアーを利用しながらの旅行なので、一人旅の竹沢さんとは違いますが、それでも4カ月をかけてトラックなみのバスでアフリカを縦断し(ツアー参加者が交代で食事を作りテントで泊まる)、中米を路線バスで移動し、一人でカナダをバスで横断し、7カ月をかけて南米大陸を1周した旅(こちらも参加者自炊・テント泊)は、語りつくせない経験のはずです。自分は冒険家ともいえないし、写真家でもないけれど、哲学者とは言える。アフリカと南米を知れば、誰もがゲバラだけが特別な革命家だとは思わなくなるだろう。貧困が犯罪を生むわけではない、格差が犯罪を生む・・・と話す元クラスメイトのことばに、ただただ頷きました。
腰痛は、病院か整体院か迷った末に行ったいつもの整体院で施術をしてもらい、だいぶ楽になりました。
posted by norno at 16:54|
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