2015年08月31日

鈴木理策写真展 意識の流れ

鈴木理策氏は、自身の見ることへの拘りと同じくらい、他者にどのように見せるかを考え尽くし楽しんでいるように思えます。
それが写真集を見るのとは違う展覧会の面白さなのだろうと思います。
写真は被写体にカメラを向けて撮るという極めてシンプルな行為なので、撮る側のビジョンや思索や美意識が見えてきてとても刺激を受けます。
写真撮影可の写真展。東京オペラシティ アートギャラリー(7月18日(土)─ 9月23日(水・祝)

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2015年03月26日

旅に憑かれる

今年のラツコヴィッチ展は、7月後半から8月にかけて、茅ヶ崎の<CREATIVE SPACE HAYASHI>で開催していただくことになりました。

先週ラツコヴィッチ・アート・ジャパンのYさんとギャラリーを訪ねる予定でしたが、10年ぶりくらいの重〜い腰痛がやってきて訪問は延期となってしまいました。
ギャラリーでちょうど開催されていた、写真家/竹沢うるまさんの展覧会を見るのも楽しみにしていたのでとても残念でした。竹沢さんは毎年我が家で利用しているJVC(日本国際ボランティアセンター)のカレンダーの今年の写真を撮った写真家です。JVCのカレンダーは、今までもよい写真はいろいろありましたが、今年は特に色彩が独特で強い印象が残っていました。
2010年から3年近くをかけて103ヶ国を巡って撮った写真は、<Walkabout>という写真集として出版されているというので早速図書館で借りました。また今年の2月には、写真集と対になる、文章がメインの<The Songlines>も出版されていたので、こちらも併せて読みました。
<The Songlines>からは、アマゾンでのシャーマンとの出会いと深い精神世界の体験(旅の出発から読んでいくと、この体験は決して唐突な感じはしません)、厳しいアフリカの環境のなかで生きる子供たちのすがたや東チベットの政治的にも厳しい現実など、旅行者のリアルな実感が伝わってきましたが、私が一番印象に残ったのは、世界には旅人と呼ばれる人たちが多く点在していることでした。そして著者自身が、旅を終えるタイミングの難しさを何度も言及していたことです。「もう十分に世界を見た(旅を生きた)」という実感が、旅を終えることを促すのですが、それがないと憑かれたように生と死ぎりぎりの状況にまで近づいてしまうか、あるいはぼんやりと旅人を続けてしまうというのです。普通の人にとって旅行は日常にあっても、旅(たび)という経験は遠いところにあります。しかしこの本を読むと、旅のもつ本質を考えさせられます。旅の本質は、憧れ、恐れ、孤独、迷い、決断、歓び、生と死のあわい(間)に時間を刻む私たちの人生を色濃く映しているものだと。

ちょうど2週間ほど前、2年近くをかけて世界を回って帰国した元クラスメイトに会って、写真を見ながら話を聞いたこともあって、竹沢うるまさんの2冊の本もリアリティがありました。
元クラスメイトの旅は、その都度ツアーを利用しながらの旅行なので、一人旅の竹沢さんとは違いますが、それでも4カ月をかけてトラックなみのバスでアフリカを縦断し(ツアー参加者が交代で食事を作りテントで泊まる)、中米を路線バスで移動し、一人でカナダをバスで横断し、7カ月をかけて南米大陸を1周した旅(こちらも参加者自炊・テント泊)は、語りつくせない経験のはずです。自分は冒険家ともいえないし、写真家でもないけれど、哲学者とは言える。アフリカと南米を知れば、誰もがゲバラだけが特別な革命家だとは思わなくなるだろう。貧困が犯罪を生むわけではない、格差が犯罪を生む・・・と話す元クラスメイトのことばに、ただただ深く頷きました。

腰痛は、病院か整体院か迷った末に行ったいつもの整体院で施術をしてもらい、だいぶ楽になりました。
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2013年12月11日

クロアチア写真展/ ドブロヴニク・ザグレブを歩く

今年3月、初めて訪れたクロアチア・ドブロヴニクと首都ザグレブを撮った写真展を、新宿ベルクで12月30日まで開催しています。

毎月発行されるベルク通信に、5月・6月・8月と掲載していただいたクロアチア旅行の報告より。
クロアチアへの旅 1
2010年夏、ベルクで開催されたクロアチアの画家ラツコヴィッチ展の期間中、クロアチア政府観光局のアンケートに応募し、往復航空券をいただきました。ようやく念願が叶い、3月にクロアチアに行って来ました。初日にウィーン経由でザグレブから南端の都市ドブロヴニクまで行く予定でしたが、ドブロヴニク空港の強風のためスプリットにフライトが変更。夜半から未明にかけて、異国の観光客とともに4時間のバスの旅となりました。満天の星空の下、バスはうっすらと雪に覆われた山道を走り、寝静まった家々の前を通り、ボスニア・ヘルツェゴビナの検問を通過し、ようやくドブロヴニクに到着しました。ホテルのベッドに横になる頃には、藍色の夜が明け始めていました。
クロアチアへの旅 2
クロアチアの最南端ドブロヴニクは、アドリア海沿岸屈指の観光地ですが、全長約2kmの城壁に囲まれた中世の建築物が残る旧市街には、まだ多くの人たちが住んでいます。細い路地に誘われるように入ると日常生活が垣間見えます。晴れた日は建物に張り渡されたロープに洗濯物が連なり、嵐の日は観光客が足早に去った通りを、学校帰りの子供たちがはしゃぎながら通り過ぎます。雨に黒々と濡れた陰影のある街は、呼吸する生きもののように魅力的です。1991年ドブロヴニクは旧ユーゴの崩壊とクロアチア独立に伴う紛争で、多くの人が亡くなり街は破壊されました。嵐が続く夜半、旧市街の小さな中庭に佇んでいた高齢の女性を思い出しました。この轟々と吹く風も戦禍を経た彼女には子守唄のようだろうかと。そして明日のザグレブ行きの飛行機が飛ぶことを祈りました。
クロアチアへの旅 3
旅行の後半、首都ザグレブ滞在は初日の空港での5時間を除くと48時間にも満たない。移動した距離もミロゴイ墓地以外はホテルから1キロ圏内を歩いただけ。
でもザグレブは印象深い街でした。イェラチッチ広場から細い坂道を上ると、中世の教会と街並みを残す旧市街、広場からザグレブ中央駅に向かうと19世紀末の香りを色濃く残す建物と整備された公園。3月の午後、夏のような青空の下を鮮やかなブルーのトラムが走り、果物や野菜が山積みにされた赤いパラソルのドラツ広場では、ラツコビッチ氏の絵に出てくるような農家のおばさんにも出会いました。街で食事する人たちはよくしゃべり親密な挨拶を交わしていました。12月、写真を添えてベルクでクロアチア展をさせていただきます。

新宿ベルク(アクセス 新宿東口から徒歩15秒)
http://www.berg.jp/map/map.html
クロアチア政府観光局
http://croatia.jp/

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posted by norno at 23:11| 写真

2013年12月01日

クロアチア写真展/ ドブロヴニク・ザグレブを歩く


展覧会に寄せて(ベルク通信12月号)
クロアチア写真展/ドブロヴニク・ザグレブを歩く

私とクロアチアとの出会いは2002年にさかのぼります。
はじめて見たクロアチアのナイーブ画家ラツコヴィッチの作品は牧歌的でしたが、ギャラリーに置かれた画集を開いたとき、描かれたペン画のただならぬ雰囲気に衝撃を受けました。大地から何もない空間に落下していく集落、無数の植物や虫、人の手、頭部・・・。
1991年のソ連崩壊後、クロアチアはスロヴェニアとともにいち早く旧ユーゴスラビアから独立、その後この地域で起こった紛争がまだ記憶に新しい時期でした。
しかしそれから急速に日本におけるクロアチアは美しい観光国として知られるようになりました。今年3月ようやくクロアチア行きが実現しました。短い滞在期間でザグレブには特に心を残す旅でしたが、写真を見ると異国を歩く高揚感と古都の独特の時間が蘇ります。
この旅行の機会をくださったベルクとクロアチア観光局へのお礼と報告を兼ねて写真展をさせていただきます。

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ベルク開店前の早朝6時前にお店に入り、開店7時過ぎに展示を終え、ほっとしました。
ラツコヴィッチ・アート・ジャパンのYさんにも早朝からお手伝いいただきました。
Yさんとの共同作業は、ラツコビッチ氏を巡る一つの旅のようだと最近感じます。

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2013年11月28日

クロアチア写真展 ドブロヴニク・ザグレブを歩く

12/1(日)〜12/30(月)まで、新宿ベルク店内でクロアチア写真展を開催します。
以前、同店でクロアチアナイーヴ画家ラツコヴィッチ展を企画した際、クロアチア政府観光局のアンケートにこたえ、抽選で往復航空券をいただくという幸運に恵まれました。
今年の3月ようやくクロアチア旅行が実現し、その旅行の報告とお礼の写真展です。

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案内状は、夜のドブロヴニク旧市街のピレ門付近の写真です。

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2013年05月08日

かつて新宿にダンボール村があった

迫川尚子さんから写真集『新宿ダンボール村』を送っていただいた。
1996年−1998年とは、新宿地下広場に路上生活者と支援者によりコミュニティが生まれ、そしてなくなるまでの2年間のことです。
新宿ベルクの副店長でもある迫川さんが、毎日ダンボール村に通いそこで撮った写真がこの写真集です。
新宿にはそれ以前にも、都庁に向かう地下通路にダンボールハウスが並んでいました。隅田川沿いや上野公園でも、たくさんのホームレスの人とダンボールを見かけました。
でもいつのまにか街でそのような光景を見ることはなくなりました。

かつて通り過ぎる人であった私に、迫川さんのまなざしは<かつての今>を見ることを促します。
NPO法人自立サポートセンター・もやいの稲葉剛さんが書かれた「新宿ダンボール村の歴史」も、当時を記憶するための貴重な記録です。

展覧会も開催されています。

5/8〜5/31 紀伊國屋書店新宿本店4階ギャラリー
http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/store/Shinjuku-Main-Store/20130508100000.html

5/1〜5/31 新宿ベルク
http://www.berg.jp/exhibition/2013ex05/2013ex05.html

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2012年05月12日

空を映す水 2


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2011年01月10日

影日和

冬至を過ぎたとはいえまだ太陽の高度が低いので、晴天の日は正午を過ぎたころでもこんなに長い影が伸びています。
今日の散歩は影を追いかけて歩きました。

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散歩の相棒と
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2010年02月09日

木村伊兵衛とブレッソン

恵比寿の写真美術館で最終日の「木村伊兵衛とアンリ・カレティエ=ブレッソン」展を観ました。
二人の写真は同じように街の人々や風景を撮っていますが、見るものに与える印象は全く違います。
木村伊兵衛の写真からは、撮影された瞬間の前後の人の動きや風景が見えてくるような時間の流れを感じるのですが、ブレッソンの場合は目の前にある写真がすべてです。
しかし、白から黒までの階調の見事な配分と配置が、写真に複雑な奥行きとリズムを生み出していて、一旦写真の前で釘付けになった視線は、写真の隅々にまで誘われいつまでも魅了され続けます。
あたかもブレッソンの写真の時間を生き始めるような、そんな高揚感がありました。


この日は午後になっても光は強く美しいままでした。

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posted by norno at 13:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 写真